認知症疾患医療センター
センターの概要
ご相談内容
- 介護保険制度の説明
- 介護サービス事業所の紹介
- 介護保険施設の案内
- 医療や介護にかかる費用の相談
- その他、認知症の方のケアにまつわる様々な相談
鑑別診断・治療方針の選定では、ご家族とのご相談や鑑別診断のための検査(頭部MRI(CT)・脳波・心理テスト・血液検査等)を行い、その結果をもとに医師の診察による鑑別診断を行っています。診断に基づき、ご家族や関係機関を交えて個々に応じた治療・看護・介護の方針を検討しています。(当院ではMRI、SPECTの検査は連携医療機関で行っていますので鑑別診断はあらかじめ予約が必要となります。)
保健・医療・福祉関係機関・介護サービス機関との研修会の実施では、保健・医療・福祉関係機関・介護サービス機関の担当者を対象に当院で年に2回研修会を開催しています。また、認知症に関する講師派遣を行っています。
保健・医療・福祉関係機関・介護サービス機関との研修会の実施では、保健・医療・福祉関係機関・介護サービス機関の担当者を対象に当院で年に2回研修会を開催しています。また、認知症に関する講師派遣を行っています。
認知症について
認知症とは、成人になってから起こる認知機能の障害で、このために普通の日常生活が困難になる状態です。高齢者に多いことから、高齢社会ではその対応が緊急の課題となっています。認知機能とは、わかりやすく言うと物事を判断する能力を言います。
アルツハイマー型認知症
70歳以上の方に多く、明るく病識が乏しいのが特徴です。CTやMRIを撮ると脳全体の委縮や血流の低下がみられます。初期の段階から、日時や場所がわからない、少し前の出来事を覚えていられないといった症状が現れ、経過は少しずつ確実に進行します。特徴としては、落ち着きがなく、多弁で、奇異な屈託のなさが見られることがあります。また、40歳後半から65歳未満に発症して、若年期認知症の原因として最も多いとも言われています。初期の段階では、薬物治療が有効な場合もあります。
脳血管性認知症
高血圧や糖尿病、心疾患、動脈硬化などが危険因子となり、脳梗塞や脳出血が起こり、認知症の症状が出現します。経過は階段状に良くなったり悪くなったりします。人によってはうつ状態や、感情失禁(感情のコントロールが難しくなる状態)やせん妄(意識水準が悪くなる状態)が現れる場合があります。
レビー小体型認知症
記憶障害以外に、はっきりとした幻視や、パーキンソン症状(小刻み歩行など)が特徴的で、調子の良い時と悪い時で波が見られます。さらに、便秘や失禁、立ちくらみといった自律神経症状を伴うことがあります。認知症の進行を遅くできる可能性のある薬があり、興奮、徘徊、不眠などの「周辺症状」にも薬が有効なことがあります。
ピック病(前頭側頭型認知症)
脳の前頭葉から側頭葉にかけての部位が萎縮します。怒りっぽくなるなどの性格変化や、同じことを繰り返すなどの日常生活での行動異常が特徴で、記憶障害や言葉が出ないなどの神経症状が現れます。
認知症の症状
記銘力障害
- 最近のことが覚えられなくなる
- 物の置き忘れ、火の消し忘れなどがみられる
- ヒントを与えられても思い出すことができない
記憶障害
- 昔から知っていたはずのことを思い出せない
- たとえば、生年月日を言えても、今の年齢がわからないというようなことから始まり、進行すると自分の名前、住んでいる場所、生まれ育った町なども忘れてしまう
見当識障害
- 年月日、時間、場所などがわからなくなる。
- 昼夜の区別がわからない、慣れた道に迷い、家に帰ってこられなくなるなどの症状が出る
認知障害
- 計算力、理解力、判断力などに支障がでてくる、会話にまとまりがなくなるなど
人格変化
- 自発性の低下:活気、周囲への関心がなくなる
- 感情の易変性:短気になりささいなことで怒ったり泣いたりする
- 脱抑制:非常識で唐突な会話や行動が出る
認知症にともなう周辺症状
せん妄
- 実際にはいない虫や人物がいるという幻覚(特に幻視)を伴って、振り払おうとするなどの同じ動作を続ける。
- 表情、言動、態度などが変化し、不穏、興奮状態になる。
こうした症状は夕方から夜間に現れることが多く、「夜間せん盲」といわれている。服用している薬、感染や脱水などの身体疾患により起こる場合もある。
妄想
- 物盗られ妄想:しまっておいたお金、時計、衣類などが盗まれたなど
- 被害妄想:家族にいじめられる、ご飯を食べさせてもらえない、など
- 嫉妬妄想:夫や妻が浮気をしていると思う、などこれらは、比較的多くみられる症状で、元来の性格や生きかたが影響していることが多い。
徘徊
本人は何らかの目的をもっているが、ほかの人から見ると、意味もなく歩き回ること。不安や焦燥感による場合もある。
不穏、暴力行為
自分の行動を制限されたり、注意されたり、何かをされることへの反発であることが多い。元来短気で怒りっぽい性格の人に多い。幻覚や妄想によるものや、自分の思いがうまく伝わらない場合にも起こる。
過食、異食
食事をしたことを忘れただけでなく、満腹感もないことがある。異食は食べ物以外を口にする行為で、認知症が比較的高度になってから認められることが多い。
便失禁
トイレの場所がわからずに失禁したり、トイレでするという行為自体がわからなくなり放尿、放便をしたりすること。
不潔行為
汚してしまった下着をたんすの中にしまい込んだり、便をしまいこんだり手に持ったりする弄便もみられる。自分でなんとかしようとした結果、ということもある。
睡眠障害
認知症の進行とともに夜間不要となり、日中に睡眠をとるという昼夜の逆転がみられる。単に睡眠をとる時間が変わるということだけでなく、夕方近くになると落ち着かずに不機嫌になったり、興奮したりすることがある。また、夜間せん妄に発展することもある。
認知症のもの忘れ
- 体験そのものを忘れる。
- 物の名前だけでなく、物事自体も忘れる。
- もの忘れの自覚に乏しい。
- 人、場所、時間に関して、ほぼ正しく認識できにくい。
- 日常生活に支障をきたすことがある。
- しばしば作り話がみられる。
- 進行性である。
早期発見・早期治療の意義
- 治る認知症や一時的な症状に対しては医学的に対処できます。
- アルツハイマー型認知症では、おくすりを用いて進行を遅らせることができます。
- ご本人が認知症を理解できる時点で受診することができます。
- 病状への理解と対処法を身につけることで、生活上のトラブルを減らすことができます。
- 症状が軽度のうちに、後見人を決めておくなど、病状が進行したときの対応をあらかじめ提示することができます。
- ご本人だけでなく、ご家族も専門家に相談することで、認知症やサービスについての正しい知識が得られるため、余裕を持って対応することができます。
厚生労働省によると、認知症高齢者は年々増加し、2015年には全国で約250万人になると推計されています。恥ずかしくもみっともなくもありません。ためらわず早目に相談して下さい。
精神障害者保険福祉手帳について
認知症の方は、「精神障害者保健福祉手帳」の交付対象となります。身体障害者手帳や療育手帳と同様に、手帳の取得により、各種福祉サービスが受けやすくなります。手帳の申請やお問い合わせは、お住まいの市立保健所・福祉担当窓口までお願いします。
若年生認知症について
認知症は高齢者だけの病気ではありません。65歳未満で発症するいわゆる若年性認知症の方は、全国で37,800人と推計されています。家族の精神的負担が大きく、経済的な困難を伴うことも多いことから、社会的な関心が高まっています。
問診を受ける際の心がまえ
以下の情報については、医師からよく質問される内容です。診断および介護の上でも大変参考になりますので、事前に確認しておきましょう。
- いつ頃から、どのようにして症状が出てきましたか?
- 現在はどのような症状があり、困っているのですか?
- 今までにかかったことのある病気はありますか?
- 現在、治療を受けている病気はありますか?
- 現在、どのような薬を処方されていますか?(分からない場合は、薬の包装ごと又は処方内容が明記してある用紙を持参して下さい)
- 現在、本人・家族にとって大変だと思うことは何ですか?
本人や家族が受けられるサービス
- 住宅介護支援サービス:居宅介護支援事業所のケアマネージャーによるサービスで、要介護者のニーズに合わせて、ケアプランに基づき、保険・医療・福祉に関するサービスを総合的・効率的に利用できるように支援する活動を言います。
- 住宅改修:利用される方の生活の利便性や安全性を考慮した住居に作り直すサービスです。支給限度基準額は20万円と定められており、その9割が介護保険によって償還されます。
- 福祉用具貸与:高齢者の方が日常生活を快適に過ごして頂くために福祉用具を介護保険の指定事業者等が貸与する制度です(車椅子、特殊寝台、認知症老人徘徊感知機器など)。
- 訪問介護サービス:ホームヘルパーが自宅を訪問して、利用者の入浴・排泄・食事などの身体介護や、調理、洗濯などの生活援助、生活や身上、介護に関する相談・助言などを行います。オプションサービスとして「認知症ケア」「療養食」などがあります。
- デイサービス:高齢者の方が日帰りで施設に通い、機能訓練、生活訓練、入浴、食事の提供などを行うサービスです。
- デイケア:高齢者の方が介護老人保健施設や医療機関に通い、心身機能の維持回復や日常生活の自立を目的として、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションなどのサービスを受けられます。
※その他、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリテーションなどがあります。
鑑別診断の流れ
- 相談:まずは認知症疾患医療センターへご連絡ください。専門スタッフがご相談に応じます。(在宅支援のお手伝いも致します)
- 問診:ご本人の様子を伺います。
- 検査:必要に応じて認知症鑑別の為の諸検査を行います。
- 画像診断(CT)
- 血液検査・尿検査
- 心理検査など:連携医療機関での検査をご紹介する場合もございます。
- 鑑別診断:精神神経科医師が診察致します。
- 治療:診断結果に応じて外来通院・入院治療・他医療機関紹介となります。
前橋市での認知症治療なら
前橋市での認知症治療をご検討されている方は、認知症患者の専門医療福祉相談・鑑別診断・治療指針の選定に加え、地域保健医療・福祉関係者に技術援助を行っている下大島町の当院をご利用ください。結果に応じたオーダーメイドな治療で、認知症の進行予防をサポートいたします。また、認知症高齢者対応グループホームの情報や若年生認知症についての情報もご提供しておりますので、認知症に関してのご不安がある方はお気軽にお問い合わせください。